村田製作所
伝えたいことを絞り込み、シンプルなコピーと 大胆なビジュアルで企業姿勢を表現
CSRを斬新な表現でアピール
村田製作所では「CSRを意識した理科教育の推進」を重点テーマに掲げ、子どもたちに理科や科学の面白さを伝えていくことを目的とした様々な活動を行っています。例えば、止まっても倒れない自転車型ロボット・ムラタセイサク君を事業所近隣の小・中学校に派遣し、当社の技術や製品を紹介する出張授業や、理科や科学を楽しく学べるウェブサイト『エレきっず学園』の運営もその一環です。
2007年〜2008年に「理科はすきですか」というメーンコピーで展開する広告クリエーティブも、理科離れが社会問題となっている現状に警鐘を鳴らしたい、という企業姿勢を訴求するために作りました。今年で18年目を迎える当社の企業広告活動は、社名の知名度向上、事業の紹介、エンドユーザーとのリレーションという段階を経て、今回は企業の社会的責任(CSR)の訴求を斬新な表現でアピールするという、ある意味実験的なこころみととらえています。
理系学生のメーカー回帰を意図
村田製作所は1944年の創業以来、セラミクスをベースとした数々の電子部品、モジュールを作ってまいりました。材料から製品にいたる一貫生産の強みを生かし、世界市場で高シェアを誇るものも少なくありません。
しかし、広告活動を行う以前は、一般の方々には当社の製品を目にする機会がないが故に、村田製作所がどのような会社なのか、また社会にどのようにかかわっているのかをうまく伝えられずにいました。そのような中、広告活動を本格的に行うきっかけとなったのが、1990年前後のバブル期、理系学生のメーカー離れでした。
また、複数社から内定を得たときに、学生はどうしても有名な企業を選択してしまう傾向があり、人材獲得面での競争力の弱さも深刻でした。多様な人材を確保するために知名度や好感度の向上が最優先課題となっていました。
1991年、「村田製作所はなにをセイサクしているんだろう」で始まったキャンペーン広告は今年で18年目を迎えました。継続的な出稿とユニークな広告表現が功を奏し、学生の就職意向のみならず、一般の方々の知名度や好感度なども飛躍的に向上しました。
シンプルなメッセージと大胆なビジュアルでインパクトを意識
今回、「理科はすきですか」をメーンコピーに据えた広告クリエーティブは、テレビCMなどとも連動させ、昨年末から新聞広告やテレビのスポットCMなどで展開しています。
このメッセージには、子どもたちは本当は理科が好きなのでは? という仮説がベースになっています。世間では、理科離れが社会問題になっていますが、当社が出張授業などを行ったときの子どもたちの反応は皆、好奇心旺盛で、自転車型ロボット・ムラタセイサク君が不倒停止やS字カーブを走ると、目を輝かせて「セイサク君のリュックにはお弁当が入っているの?」とか「寝るときは自転車から降りるの?」など次々に愉快な質問が出てきます。
受験やいろいろなテストを乗り越えるための知識を詰め込むうちに、理科や科学が本来持つ面白さを見失っていくのかもしれませんが、本当はこの「不思議」と思う気持ちこそが理科のはじまりなんだよ、という原点を思い出してもらえれば、と考えています。
ビジュアルでは、女性が壁越しにムラタセイサク君をのぞき込んでいますが、これは人間と科学の出会いをあらわしています。多くの人は、不思議なものに対しておそるおそる近づき、徐々に理解を深めていく行動パターンであるのではと仮定し、ムラタセイサク君に興味を持ちながらもそおっとのぞき見ている構図としました。最初の15段広告では、ビジュアルとキャッチコピーのみを配置し、強いインパクトを残すことを狙いました。続いて7段広告を2回出稿しましたが、そこではきちんとボディコピーを挿入して、理科離れに危機感を抱く企業姿勢を訴求しました。「何を伝えるか」をきちんと押さえた上で、「どのように伝えるか」を重視したクリエーティブと出稿計画を意識しました。
「ムラタファン」を増やしたい
その結果、若い読者と思われる方々からの反響は予想以上に大きく、広報部に寄せられるご感想以外にもインターネットの掲示板やブログなどでも話題になったようです。手ごたえを感じる一方で、ご年配の方々からは「意味が分からない」などのご意見も頂戴し、自社のウェブサイトで制作意図や狙いをフォローする一幕もありました。
通常、企業広告を制作する際は、読者に少しでも製品や技術を知っていただくために、あれもこれも盛り込みたくなりますが、情報過多の広告はなかなか読んでもらえず、言いたいことがうまく伝わらない事例も多いと思います。当社の考え方は、発信すべきメッセージを絞り込み、シンプルな表現で強いインパクトを持たせることを心がけています。
今回でいえば、一電子部品メーカーとして、社会にどのように貢献するのか、どのような社会を創出したいのかという志や夢を前面に出すことと、子どもたちに「ムラタファン」になってもらい、将来的にステークホルダーとして当社を応援してもらうことを目指したクリエーティブを心がけました。
これまでの継続的な広告活動の結果、毎年日本経済新聞社が実施している「日経企業イメージ調査」では、当社の「企業認知度」や「好感度」は年々向上しています。
今後の課題としては、学生が就職時に重視する企業が果たす社会的役割や仕事内容の魅力についてもきちんと伝わるように、新聞広告を中心に各媒体を組み合わせた広告活動を展開し、コーポレートブランドの価値向上に結び付けたいと考えています。
(広報部企業広報課 高橋正嗣)
日経朝刊全15段(2007・12・19)
日経朝刊全7段(2008・1・10)
日経朝刊全7段(2008・1・23)
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