光文社
「光文社ペーパーバックス」創刊2年、新刊相次ぐ。
30・40代の勝ち組ビジネスピープルをコア読者に
絞り込んだスタイルと企画
大多数のサラリーマンは本など読まない。自分の仕事に参考になる本ならイヤでも読むが、それ以外は、知識、教養、情報収集のためといっても本など読まない。読むのはせいぜい新聞と週刊誌。そこで、私どもは読者を勝ち組ビジネスピープルに定め、スタイルと企画を絞り込んできた。
ジャケットと帯を排除し、再生紙のザラ紙を使用、本文ヨコ組みでキーワードには英語を併記するという、これまでの本作りの常識を覆したのもこの点にある。また、企画もベストセラー(去年のビジネス書ランキング1位)となった『内側から見た富士通 成果主義の崩壊』や『国家破産以後の世界』など、彼らの今後に直結するテーマを選んできた。
現在の日本社会は90年代からの長期不況を引きずり、80年代の1億総中流社会崩壊後の過渡期にある。だから、今後は中流からどんどん転落する層が増え、勝ち組も減る。しかし、この勝ち組をターゲットにしなければ、今後の社会の発展も変革もないし、メディアとしての出版ビジネスも堕落してしまう。ただ単にサラリーマンにうける本をつくるというのでは、「昨日と同じ明日」を生きるだけだ。
では、勝ち組はどこにいるのか? 簡単に言えば、成田から上海浦東空港、サンノゼ空港などに向かう飛行機の中。あるいは日本の優良会社や外資系の企画・開発部門で、日夜、戦略を練っている。会社帰りの居酒屋で上司の悪口を言って酒を飲んでいるのは、私どもの読者ではない。つまり、大都市在住で、海外経験、異文化体験を持ち、勝ち組企業に勤めている層に、彼らが必要とする経済、金融、IT、政治、英語などの情報を誠実に提供するのが、私どもの使命と思っている。
スタイル、企画をここまでセグメントすれば、宣伝・広告展開もおのずと見えてくる。書籍広告の常道としての新聞による新刊広告は、良質な読者がつかめる日本経済新聞に絞り、反響が出たときは他の大手紙にも出す。書店への宣伝活動も地方の中小書店には注力せず、大都市の大型書店に集中して行っている。また、「創刊〇周年フェア」「サイン会」など、供給側だけの都合で読者ニーズとは関係ない宣伝活動は行わない。
さらに、ネットはまだ研究の余地があるが、ここで書評を書いたりしているのは、日本ではまだオタク系のブロッガーが多いのでほぼ無視。高度情報化社会といっても、低レベルは低レベルとしか交信しないので、その実は低度情報化社会だからだ。
(光文社ペーパーバックス編集長 山田 順)
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