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【2004年1月号】

第21回広報・宣伝部長アンケート

 毎年、本誌1月号では、巻頭で特集「広報・宣伝部長アンケート」を実施し、ご紹介しています。本年は21回目を数え、国内で広告展開している154社から回答をいただきました。2003年11月の政府・月例経済報告で景気持ち直しの判断があったとおり、国内景気は、久しく続いた底ばい状態から脱し、景気回復に向けて軸足を定めています。鉱工業生産や設備投資の改善だけでなく、個人消費にも変化の芽が見えてきたようです。日本経済新聞社が10月に実施した「社長100人アンケート」でも、景気は「緩やかに回復に向かっている」との回答が約4分の3を占めました。この回答は、2003年6月にはわずか5.6%の少数でした。2003年夏以降の回復ぶりが著しいことがわかります。広告業界にとっても、2004年は明るい年になりそうな気配です。
  まずはアンケート結果からご報告します。

2年続いた宣伝費抑制傾向に歯止め

 まず、アンケートでは2004年の宣伝費の見通しを尋ねた。結果は、図1に示したとおり、「増える」と「やや増える」合わせて22.7%と、前回の同質問における回答率(16.7%)を6ポイント上回った。「変わらない」とする企業が57.1%と過半数を占めているものの、「減る」と「やや減る」を合わせても18.9%に過ぎず、2001年予測以来3年ぶりに宣伝費増加傾向の割合が減少傾向を上回ったことになる。
  経済産業省「特定サービス産業動態統計」による広告業の2003年10〜12月期の売上高予測DI(「増加」と見る広告業の割合から「減少」と見る割合を引いた指数)はプラス4.0と、実に2001年4―6月期以来10.4半期ぶりにプラスに転じている。
  IT景気といわれた2000年の活況、そして当時主役を演じた数多くのITベンチャーの浮沈、次いで記憶に新しい米国同時多発テロの発生や牛海綿状脳症(BSE)騒ぎなどが起きた2001年に国内景気は大きく後退し、それ以来広告需要も低迷を続けていた。しかし、厳しい情勢のなかで生き残りを賭けた企業間競争は、着実に企業を筋肉質に変えた。上場企業の2004年3月期決算は、連結経常利益が過去最高を更新する見通しだ。
  景況判断の材料のなかで、先行して回復したのは輸出や鉱工業生産、設備投資であり、まだ全般的な個人消費においては回復基調は明確ではない。しかし、内閣府が発表した10月の景気ウオッチャー調査の現状判断指数は50.8と、39カ月ぶりに横ばいを示す50を上回った。さらに民間調査機関の推計によれば、2003年冬の民間企業のボーナスは1996年以来7年ぶりに増加に転じる。じりじりと続いた所得減少が国民にもたらす不安感がようやく払拭され、デジタル製品などに限定的であった個人消費が、食品や日用品などの一般消費財にまで拡大する日も近いのではないかと期待される。

図1 [2004年の宣伝費は?]  [2003年の宣伝費は?]

2004年の宣伝費は? 2003年の宣伝費は?


消費回復への期待感

 次に、自社の広告活動上、重視していることを尋ねた。結果は図2に示すとおりであり、「コーポレートブランドを高める」が61.0%と、前回にさらに5.3ポイント上積みし、回答率6割を超えた。ブランドの確立に向けた、マーケティングをはじめとする諸活動と財務戦略との両立は、新しい価値判断基準を経営者に与え、経営革新に少なからず好影響を及ぼした。過去、低迷を続けていた多くの企業の経営者にとって、コーポレートブランド経営がV字回復の転機となったケースもあろう。ブランド確立を目標に掲げたコミュニケーション活動はコーポレートブランド経営における中核の戦略である。それが広報宣伝部長の認識としてすっかり浸透した感がある。
  次いで、「企業イメージの向上」(40.9%)と「売り上げに結びつける」(39.0%)が僅差で並んだ。「企業イメージの向上」はほぼ前回と同じ水準であるが、その一方、前回大きくスコアを減少させた「売り上げに結びつける」が3.8ポイント戻している。
  東洋大学経営学部の疋田聰教授(マーケティング)は広告費の回復基調とこの結果を合わせ、「長かったデフレ不況ムードから、まだら模様のなかにも明るさが見え始めていることを宣伝部長が実感している」と指摘する。「広告の効果として、短期の業績にはっきりと貢献するのが売り上げ向上である。景気が底をはっている状態では、広告の売り上げ効果を語ることが難しい。会社の業績が改善、世の中の先行き不透明なムードが一転して将来に向かっての明るさが見え始めた今、意欲的に広告を展開しようとする宣伝部長の姿勢が垣間見える。『さあ、広告の出番だ』という意気込み、そして新しい取り組みに向けてのチャレンジ精神が動き出している」と見る。

図2 [広告活動上、重視していること]

広告活動上、重視していること

積極的な広告展開に向けたデータ整備

 自社の広告活動に必要な情報として、どんなデータを活用しているかを尋ねた(図3)。「広告効果」が67.5%と、前回同様1位。次いで前回と同様に2位が「市場動向」(56.5%)。順位は変わらないものの、スコアは若干減少した。今回、「媒体データ」(39.0%)と「消費者購買行動」(31.2%)、さらに「商品売上情報」(20.8%)でスコア上昇が目立った。広告効果や市場動向といった、全体的、もしくは総論に属するワーディングへの宣伝部長の反響が減少し、より具体的な項目への反響が増えている。
  この傾向に関して、前出の疋田聰教授は、「売り上げアップに目が行き始めた結果であり、多くの企業で広告活動を強化していく流れのなか、媒体の選別や消費者の行動、個別商品の売れ行きなど、広告出稿のための具体的なデータのニーズが高まっている」と分析する。さらに、今年の消費活性化の可能性に関しても、「宣伝部において『やれば何か得られそうだ』という広告活動がもたらす成果への期待感が高まっており、景気回復の基調のなか、今年後半は積極化した広告活動の貢献として、売り上げの増加が多くの企業で見られるのではないか」と予測する。

図3 [広告活動に必要なデータ]

広告活動に必要なデータ

商品・サービスの魅力をどう訴えるか

 自社における広告クリエーティブ上の重視点を尋ねたところ、図4のような結果になった。前回1位だった「企業戦略との整合性」(63.0%)が2位、「商品・サービスの訴求」(65.6%)が前回2位から今回1位へと、1位回答が入れ替わった。
  消費者の嗜好が複雑化するなか、どのように商品の魅力を訴えるか、消費者への洞察(=コンシューマーインサイト)を強化する企業は多い。企業の真摯な思いは、広告メッセージとして消費者の心を響かせる。真摯な思いをどう伝えるか。広告クリエーティブの力に期待されるものは大きい。

図4 [広告クリエーティブの重視点]

広告クリエーティブの重視点

高まる六本木ヒルズの人気

 今回の最後の質問は「再開発ブームの昨今、これから(も)人気を集めると思われる場所、エリアとその理由」を挙げていただくものだった。全体の85%から回答をいただいた。うち多数から挙げられたエリアは以下のとおりであり、これらで回答の64%を占める。

  • 六本木ヒルズ(33件)
  • 丸の内(大手町・有楽町・東京駅)(19件)
  • 汐留(17件)
  • 品川(15件)
 2003年にオープンしたという話題性、職・住・遊という要素を兼ね備えた複合的機能、さらにアートを取り入れたきわめて個性ある街全体の雰囲気などから六本木ヒルズを挙げた方が目立った。比較的少数ではあるが、お台場、銀座、なんばパークスも挙げられた。詳しくは一人ひとりの回答をご覧いただきたい。

 誌上を借りて改めてご協力に感謝申し上げるとともに、読者の皆様に2004年のご多幸、ご繁栄をお祈りいたします。
(マーケティング開発部 塚田剛志)
 
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