キヤノン
株式の投資単位引き下げを告知、個人投資家へ訴求。
“キヤノンファン”増やしブランド求心力を高める
画期的な決断
キヤノンは個人投資家の皆さまに当社株式をよりお求めいただきやすくなるよう、今年5月6日より投資単位を千株から百株に変更しました。当社株式の取引は毎日コンスタントに2百万から2百50万株成立し流動性は十分確保されており、株価も健全に推移していることから、急いで投資単位を引き下げる必要性もないという考えもあり、これまで変更を見合わせてきました。しかし、今回の変更は当社にとって画期的なことであり、キヤノンだからできたことと自負しています。
株主構成の平準化へ
株式の最低取引金額の引き下げを決断したのは、個人株主も含めより多くの方々に投資機会を提供し、当社の経営を支えていただける安定した株主層をさらに拡大することが重要と考えたからです。当社株価は順調に上昇し、直近で5400、5500円に推移しておりますが、一単元の投資金額が高額化し、個人投資家の皆さまが簡単に購入できる水準でないこと、さらに10年前に比べ個人株主の比率が年を追うごとに減り続け、1993年末に12.4%だったのが2003年末で5.4%までに減少しました。個人株主数でも10年前の5万8千人から昨年末には3万3千人にまで減少した反面、外国人投資家の比率は50%近くまでに増加しました。こうしたアンバランスな株主構成を平準化することも大きな変更理由でした。
社内にプロジェクトチーム
当社は12月決算会社であり、今年1月の取締役会で単位株変更の決定をしました。東証でも情報公開したのですが、この事実を一般に広く浸透させる必要がありました。そこで、この機会に個人株主を増やす運動を加速させようと社内でプロジェクトチームを作り、経理本部を中心にコーポレートコミュニケーションセンターの協力を得て、今回の広告を打つことができました。5月6日が変更切り替えの日であったのですが、当日が新聞休刊日だったため翌7日にタイムリーに掲載したわけです。
「メッセージ」を分かりやすく発信
日本経済新聞全15段のカラー紙面に社長のメッセージを載せ、変更の経緯とキヤノンの方向性を株主の方々へ発信しました。ビジュアルでは、キヤノンの単位株変更を伝える東証のシンボルマークである電子掲示板の写真を前面に、メッセージとして会社の意思を社長の御手洗の言葉で語り、さらに株主に大きな関心のある株価と配当の推移のグラフをデータとして掲載することで、メッセージをストレートに分かりやすく発信できたと思います。今回の広告が個人株主を増やす一連のプロジェクトの中では中核部分になるものです。
当社は、アナリストや機関投資家に対するIRはこれまでも比較的コンスタントに行っており、日本IR協議会から2年連続で表彰されました。ただ個人投資家向けのIRは全く行ってきませんでした。そこで、今回まず主要証券会社の営業所向けにリーフレット6万部を作成・配布し、その中で今回の単位株引き下げの経緯と同時に、業績や当社の事業内容などをお知らせしました。さらに、今年末までには個人投資家向けに的を絞ったIRも計画しております。
個人投資家向け情報開示を充実
カメラやインクジェットプリンターなどコンシューマー製品を持っている当社は、「キヤノンファン」づくりをもっと進めることが重要だと思っています。そしてキヤノン製品のファンになっていただくと同時に、株式を持っていただきたい。やはり長期保有の株主が増加し、会社の経営方針や会社理念を理解していただき、製品ファンにもなっていただくという好循環が生まれることが理想です。個人投資家はアナリストや機関投資家とは違った視点で会社を見ています。したがって、近未来的な会社がどこを目指しているかといったことや、新製品情報などをかみくだいて分かりやすく情報を開示し、個人投資家に対しては違った流れでIRを組み立てていく必要があります。安心して株式を保有していただくような情報提供が大切です。ウェブ利用は個人投資家が中心になりますので、今回の単位株引き下げを機会に、ホームページで情報を開示、最新の情報を個人投資家向けに発信するため内容を充実しています。
今回の投資単位変更による動向は各証券会社から近々報告をいただくことになっています。外部の方たちからもこの広告の話題が出て、ポジティブな意見が多く、やはり注目していただいたとの感触を得ました。マス媒体でも当社の株主対策ないしは資本対策を取り上げることは比較的少なく、株主にどういうことを期待しているのかといったメッセージも少ないように思います。株主に向かってこうした経営をしているというメッセージが伝われば、新しいキヤノンの方向付けをする1つのきっかけになると思います。今回の広告で株主に向かってメッセージを発信することで、改めてブランド求心力を高め、ブランド価値を上げていく姿勢を鮮明にしたことに大きな意味があると思います。
(専務取締役 経理本部長 田中稔三)=談
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