
日経リサーチ・ブランド調査「Brand "i"s(アイズ)」
日経リサーチでは、ブランドをトータルに管理するための調査パッケージとして、「Brand "i"s(アイズ)」を提供している。この中から、コーポレートブランドやサービスブランドについて測定したデータを紹介する。
1:コーポレートブランドを支えるドライバーとは? (「ブランド戦略サーベイ」より)
人々の企業ブランドに対する知覚を測定する「ブランド戦略サーベイ」では、総合指標である「ブランド知覚指数」(PQ)(日本経済新聞紙上で上位20社を発表)のほかにも、ブランドマネジメントのための項目をいくつか測定している。
顧客接点
企業ブランドのバリュードライバーとして、顧客接点(人々との情報接点)の管理の重要性が最近注目されている。「ブランド戦略サーベイ」では経験価値の観点をベースとして踏まえ、顧客接点の指標化を行っている。
全測定企業の顧客接点の平均像を見たのが図表1である。全体平均では、マス広告や製品利用、店頭での接触が中心となっている。この指標の活用方法の第一は、自社の顧客接点の構造を理解することである。例えば、ソフトバンク(新聞記事、雑誌記事)やNOVA(交通広告)のように特徴的な構造を持っている会社がある一方で、日本航空システム(社名は調査時)などのように幅広い顧客接点を活用している会社もあるからである。同時に、交通広告、ネット広告やホームページ、口コミといった、メディアミックスのベンチマーキングにも有効である。
また、構造を平均値や競合企業と比較する以外の活用方法もある。キーとなるブランドイメージに反応する人がどの顧客接点と接点を持っているか検証することによって、どの顧客接点の強化が効果的か把握することもできる。

ブランド魅力度形成チャネル
バリュードライバーを測定するもう1つのアプローチとして、企業ブランドに魅力を感じるに至った接点を把握する「魅力度形成チャネル」の平均像を見たのが図表2である。全体平均では、品質、広告・CM、品揃え・ラインナップが上位にあがっているが、業種によって大きく異なっている。品質は、トヨタ自動車、富士写真フイルム、キヤノンが上位企業にあがっており、メーカーで重要なポイントとなる場合が多い。一方、品揃えは東急ハンズ、紀伊國屋書店、日本トイザらスが上位にあがっており、主に小売業の評価要素となっている。また、製品・サービス以外のチャネルを見ると、顧客・消費者への対応がブランドの魅力形成に特に寄与している企業は、オリエンタルランド、ヤマト運輸、トヨタ自動車などである。その他の主要項目の上位企業は図表3の通り。


「ブランド戦略サーベイ」ではこのほかにも、ブランドイメージや総合指標の構成要素としての愛着度、独自性、必要度、購入意向と価格を絡めたブランド(価格)プレミアムといった、ブランドマネジメントに活用できる様々な指標が提供されている。

2:小売業・サービス業の魅力を多面的に測定、「ストア&サービスブランド500」
日経リサーチでは、小売業・サービス業の代表的な500ブランドについて、約3万人を対象にインターネット調査「ストア&サービスブランド500」を実施。1万5000人弱から回答を得た。
「ストア&サービスブランド500」では、5つの魅力((1)経験・体験の魅力、(2)商品・サービスの魅力、(3)従業員の魅力、(4)店舗・施設の魅力、(5)情報・デザインの魅力)と、ブランド求心力(ブランドと消費者との関係性)を測定。今回は、測定した5つの魅力のうち、「経験・体験の魅力(経験価値)」について紹介する。


経験・体験の魅力を数値化
商品・サービスを利用することは、その商品・サービス自体の機能的特性や便益を得るだけでなく、買い物するときの楽しさ、利用時の快適さ、利用後の余韻といった経験を得ることにもつながる。このような利用時の楽しさや心地よさといった感情面、また季節感や流行・デザインが感じられるといった感性面など消費者の頭の中にある目には見えない価値こそが、機能的特性や便益だけでの差別化が困難になる中、ますます重要になると考えられる。
今回、日経リサーチは、この目には見えない価値「経験価値」の数値化を試み、小売業・サービス業の『経験価値指数』を算出した。測定に当たっては「以下のブランドを利用するとすれば、どんな経験が得られると思いますか」という質問を実施した(評価項目は図表7参照)。調査終了後、第1ステップとして18の評価項目を主成分分析によって「エモーション」「プレゼンス」「パフォーマンス」の3種類のデータに集約した。次に第2ステップとして集約した3つのデータをさらに統合し、『経験価値指数』を算出。図表8は経験価値指数のランキング上位30位である。


経験価値の特徴を把握
経験価値指数は単にスコアや順位を見るだけでなく、算出に使用した「エモーション」「プレゼンス」「パフォーマンス」の3指標を用いることなどで、各ブランドについて経験価値の特徴を把握することができる。
~事例:スターバックスコーヒー・マクドナルド・モスバーガーの経験価値構成~
経験価値指数で上位にランクインしたファストフード・カフェのうちスターバックスコーヒー、マクドナルド、モスバーガーの経験価値構成を図表9に示した。

経験価値指数6位のモスバーガーはプレゼンスにおいて他の2ブランドに勝っているが、エモーションはスターバックスコーヒーより低い。また、マクドナルドはパフォーマンスが突出していることが大きな特徴といえる。
詳細評価項目を見ると、モスバーガーのプレゼンスの強さは、「他社との違いを実感できる」や「生活への提案やメッセージが感じられる」といった項目での高い評価が背景にあり、スターバックスコーヒーの高いエモーションは、「心地よい気持ちになれる」の平均を大幅に上回るスコアに起因している。また、マクドナルドは、「いつでも気軽に利用できる」「使いやすさを実感できる」「低価格で得した気分になる」が高く、それらがパフォーマンス突出の要因といえる。
「ストア&サービスブランド500」の活用法
調査結果から、経験価値指数はロイヤリティーとの相関が高いことが分かっており、経験価値を高めていくことは、ロイヤルカスタマーを増やすことにつながると考えられる。では、どのようにして経験価値を高めていくのか。
エモーションといった中間値もしくは「他社との違いを実感できる」といった各評価項目を単体で見るだけではなく、経験価値関連の指標と「従業員の魅力」など他の魅力度指標との関係(相関)を見ることにより、より詳しい経験価値の特徴を知るだけでなく、当該ブランドの経験価値のコントロールファクターを把握することができる。例えば、スターバックスコーヒーの「心地よい気持ちになれる」は、「店舗・施設の内装・外装」や「ブランド名・ロゴマーク」との関係が強く、それらが心地よい経験の主なコントロールファクターと考えられる。
自社ブランドや競合ブランドなどのコントロールファクターを把握することで、自社ブランドの経験価値を高めるために重要な店舗活動に優先順位づけが可能になるだろう。このように「ストア&サービスブランド500」は、現状把握だけにとどまらず、ロイヤルカスタマーを増やしていくための戦略構築にもご活用いただけるだろう。
※その他のランキング・測定ブランド一覧・活用事例・料金表などは弊社ホームページ(http://www.nikkei-r.co.jp/store/)に掲載中。
日経リサーチ マーケティング局ブランド・プロジェクトチーム